小さな子供は、靴が一人で履けた時や、絵が出来上がった時に「ママ!見て!上手にできたよ!!」と自慢げに報告します。これはとても可愛らしい光景です。
もちろん大人になっても、自分がしたことの成果を認めてもらいたい、という感情は誰にでもあります。そしてこの気持ちは「承認欲求」と呼ばれています。
問題なのは、その「承認欲求」が強すぎて、人間関係に支障が出てしまうこと。
ここでは、そんな「承認欲求が強い人」の特徴と、その対処法について取り上げていきます。
承認欲求とは?
「自分を認めてほしい」「褒められたい」「賞賛を集めてちやほやされたい」
承認欲求とは、こんなすべての人が持っている、「わかってほしい」という気持ちのことです。
もちろん明るくオープンな気持ちでなら、自分の成し遂げた成果を、正当に認めてもらうことや、それに喜びを覚えるのは素晴らしいことです。
しかし自分の中に、自分を認められない「闇の部分」がある場合、この承認欲求は異常な欲望になってしまうことがあります。
承認欲求が強い人の11の特徴
ここでは承認欲求が強い人の特徴を綴っていきます。承認欲求が強いほうだと感じる場合は、自分がどのくらいこの特徴に当てはまるか考えながら読んでいきましょう。
特徴①:自分のポテンシャルを信じていない
承認欲求が強い人は、自分で自分を認められません。
自分が、自分を認めることが出来ないために、代わりに他の人に認めてもらうしかないのです。
自分を認めていないというのは、つまり
「私は、私をあまり好きじゃないし、『これでいい』と思えない。だからあなたが、私を好きになって、私の代わりに『それでいいんだよ』と言ってほしい」という歪んだ心理状況です。
自分には自分だけの、大きなポテンシャルがあるはずなのに、それを自分で追及する努力が出来ていません。ですから他者からの「承認」を、強迫的に繰り返し求めることになってしまうのです。
特徴②:見ている人がいるとやる気が出るが、一人だとさぼりがち
承認欲求が強い人は、人目があるかないかでやる気にムラがあります。
承認欲求が強い人の行動は、すべて「人に見せるためのもの」なので、上司や恋人、親や教師の前では一所懸命に成果を出そうと努力します。
しかし、その場を見て褒めてくれる人がいない場合は、極端にモチベーションが落ちてしまいます。
例えば、ボランティアグループで街の清掃をする、そんなときには張り切っているけれど、誰もいない教室にごみが落ちていても拾わない。こんな人はまさに「承認欲求が強い人」と言えます。
特徴③:気持ちの浮き沈みが激しい
承認欲求が満たされていない人にとって、周囲からの評価は自分のすべてです。
褒められれば舞い上がり、無視されれば自分の存在自体が、「無意味」になってしまうように感じます。
ですから身につけるものを選ぶ時も、メニューを決めるときでも、「これを選んだらどう思われるか」ということばかりが気になってしまいます。その上常に他人目線で行動を決定するので、不安でソワソワした態度になりがちです。
このように「可愛いね」「立派ですね」と言われていないと、気持ちの平安が保たれないのが「承認欲求」が強い人の特徴のひとつです。
特徴④:派手なこと、目立つことが好き
「もっとすごい!と言ってもらいたい」「感心されたい」「再生回数を増やしたい」
承認欲求が強くなってくると、その欲望は果てしないものになります。
冷水を被ったり、固形の洗剤を飲み込んだりする映像で、注目を集めるのが流行しましたが、このような無謀ないいねボタン集めは、時に命さえ危険にさらします。それでも『誰かに認められたい』『注目されたい』という気持ちが抑えられず、無謀なチャレンジをやめられなくなってしまう人もいるのです。
あなたの職場でも、大口の契約を取って称賛を浴びるために、細かい仕事をないがしろにする人がいたら、それは承認欲求の強さからきているのかもしれません。
褒められることが目的で仕事をしているのですから、評価の対象にならない雑用は、その人にとって何の意味もないのです。
特徴⑤:出世欲が強く、優劣をつけたがる
承認欲求が強い人は、物事に勝ち負けや優劣を決めたがる傾向があります。
どこの学校を出ているか、どの地区に住んでいるか。職場でも常にポジションを気にして行動してしまいます。
会社でもあからさまに自分を誇示するので、煙たがられることも多々あるでしょう。元々内面では自分を認めていないので、「学歴」「年収」などの分かりやすい型に自分を当てはめ、認めてもらいやすくすることに心を砕きます。肩書が大好きなので、出世することに勢力を注ぐのも、承認欲求の強い人の特徴です。
有名人や芸能人の知り合いがいる、ということを自慢する人がいますが、これも承認欲求の強さの現れです。誰もが知っている人と自分が繋がっている、それを示すことで自分の立場を、他よりも高く評価してもらおうとしているのです。
特徴⑥:その場しのぎの発言をする
承認欲求が強い人は、寂しがりやの一面も持ち合わせています。
とにかく今現在が孤独で不安なので、発言においても、将来にどう影響するか、ということまで考えることができません。
現在の状況に飢えを感じているので、その場で目立つ発信をし渇きを潤すのが精一杯で、それに対する責任や、巻き起こす問題を想像できないのです。
実際に会うと大人しく、引っ込み思案な人なのに、ネット上では強烈な発信をする、という人は多く存在します。「本日の話題」トップに躍り出ることを目標にして、人を中傷したり、恐怖を煽ったりなどする人がその典型例といえるでしょう。
たくさんの人が自分の発言でうろたえるのを見ていれば、その一瞬は寂しさや渇きから逃れられます。ただ満たされるのは一瞬だけで、後はまた同じ乾きに襲われ不用意は発言をしてしまいます。
特徴⑦:繋がっていないと不安になる
一人が怖い、そんなタイプも承認欲求の強い人の特徴です。
元々自分を楽しませることができない性格なので、他の人からあれこれ言ってもらわないと寂しくてたまりません。
男性でも、仲間に今日のコーディネート写真を送り、「いいんじゃない?」と返信が来るまで外出できない人も存在します。
他にも、ラインがすぐ既読がつかないと、不安でいても立っても居られない、常にスマホを触って誰かと繋がっていないとダメな人は、相当承認欲求が強いと言えます。
特徴⑧:相手の理想に近づこうと懸命になりすぎる
承認欲求が強すぎると、自分が本当に愛されているのかが常に不安になり、相手の理想近づこうと過剰に努力してしまいます。
本来の自分の良さなどお構いなしに、パートナーがロングヘアーが好きと聞けば伸ばし、相手好みのファッションに切り替えるのです。
それらはすべて、「より愛され、認めてもらうため」なのですが、自分を押し殺して相手に合わせるので、どうしても気持ちに歪みが生じてきます。
相手の愛を確かめるために、過剰な確認作業ををとってしまうなどの問題行動もとりがちです。そのため相手の理想に合わせることに自分が疲れてしまったり、相手があなたの愛の確認作業に疲れ果て関係が終るということもしばしば起こってしまいます。
特徴⑨:他者の努力や成果を認められない
承認欲求が強い人は、他の人が注目されることが嫌いです。皆に自分だけをチヤホヤして欲しいのに、興味がそれてしまうからです。
出る杭は打っておかないと、自分に集まるはずの注目が、薄れるかもしれない。そんな風に考えて、成績の良い人やスポーツで目立つ人を攻撃し、自分から注目がそれないように努めます。
そしてそれでも自分から注目がそれてしまった場合、不安な気分に押しつぶされるような気持ちに襲われてしまいます。
特徴⑩:謝ることができない
承認欲求を強く持つ人は、「自分に甘く、他人に厳しい」という特徴も持ち合わせています。
他の人の失敗については、大げさに取り上げて問題にしますが、自分がミスをしたときには、なかなかそれを認めようとはしません。
何かと理由を付けて弁解し、言い訳を並べるのが得意で、「ごめんなさい」というのがとても苦手です。なぜなら悪いことをしたと認めてしまえば、自信がなくて弱い自分を保てないからです。
これは大人にも多く見られる傾向ですが、子供でも謝れない性格の子がいます。そういう子供は意地っ張りとか強情な子、と思われていると思いますが、実は承認欲求を強く持ちすぎているのです。
これもまた、愛情を受けられない環境にいて、劣等感が強い場合など、やはり自分を認められないことからくるものなのです。
承認欲求が強い自分への対処法!
承認欲求が強くて困っている方への、対処法をまとめました。承認欲求を正常に戻すことはあなたの人生をより、生きやすく変えてくれます。
日頃から自分で自分を認めてあげることができないと、悩んでいる方はまずここに記載してる対処法の中から1つでも実践できるものがないか、考えてみてください!
方法①: 自分を認める
自分をたくさん褒めてあげましょう。
「偉いぞ!」「よくやっってるよ」「私ってすごいな」
毎日、こんな風に自分に言い聞かせるように心掛けましょう。最初から心にこの言葉は響きません。ですが自分で自分を肯定する言葉は、小さな種から芽吹くように、少しづつ少しづつあなたの心で育っていきます。
まずは騙されたと思って、夜寝る前に『今日は、一日よく頑張ったね。偉いぞ!お疲れ様』と自分を労ってあげてください。言葉が体にしみわたるようにほんの少しづつですが、自分を前向きにとらえるきっかけが掴めますよ。
また自己肯定感をあげることも、自分に自信をつける一つの方法です。自己肯定感については以下の記事をどうぞ。
【こ作業中】愛されたい女性がするべき25の事
方法②: 結果が全てではない
承認欲求に悩まされているなら思考の歪みと向き合いましょう。日々のちょっとした心掛けで、「もっともっと認めてほしい」という、負のループから抜け出すことが可能です。
まず「もっと認められたい」と感じているのはなぜなのか、と胸の奥を覗いてください。
例えばそれは、頑張っている教科の点数が、思ったより上がっていないからかもしれません。努力しても報われないと感じているせいで、他の誰かから褒めて欲しくなったのでしょう。
他にも、毎日同じことの繰り返しの仕事に嫌気がさしているけれど、そこから抜け出せない自分にほとほと呆れ返り、自分の存在義を見失っているからかもしれません。
こんな風に冷静に分析してみると、いままで見えてこなかった別の問題が浮かび上がってきます。そして仕事にしても、勉強にしても、結果しかみていないため、自分が惨めで苦しくなっていることに気づくことができます。
全ての物事を結果だけで判断していたら、苦しくなって当然です。不安になるのは当たり前です。もし自分で自分が認められない結果だとしても、そこにたどり着く過程は、どこかしら褒めてあげるべきところはあったはずです。
結果だけで全てを判断せず、過程を考えられる思考と視点を持ってください。その新しい見方があなたを救う鍵になります。
方法③: 人からの評価を気にしないよう、心をトレーニングする
自分の心の目を自分に向けるトレーニングをしてみましょう。
第三者の気配や目を気にし続けると、心は次第に疲れたててしまいます。『自分は自分』『相手は相手』当たり前ですが、見落としがちな真理をもう一度再確認してください。
他からの承認ばかりを気にすることに疲れたら、自分の心に向かって「私、今何をしたいのかな?」と問いかけてください。そしてそのやりたいことを大切に、自分を満たしていくようにしていきましょう。
一朝一夕で承認欲求が弱まることはありません。だから日頃からトレーニングをしていくことが大事になるのです。
方法④: 自信をつける
自分の承認欲求に悩んでいるなら、自己評価を高める努力をしましょう。デメリットの多いその欲求は、押さえてあげたほうが生きていきやすくなります。
自分の性格、体質、行動などをよく考えてみてください。得意なこと、好きなことはなんですか?自己評価が低い人ほど、自分の欠点ばかりを気にしています。ですがそれをやめて、長所に注目してみましょう。
一般に承認欲求が強い人は、努力家で一生懸命です。負けず嫌いで嫉妬心が強いのも、がんばっていた自分と、他のものと比較した結果ともいえます。
そんな風に自分の良いところを伸ばし、自分らしい仕事についたり、特徴を生かした趣味をみつけましょう。そこで得られた自信が、あなたの気持ちを変えるきっかけをくれるはずです。
また何かの理由で自信を失ってしまった人は以下のエントリーも参考にしてください。
自信喪失してしまった時の14個の改善方法!方法⑤: 試し行動は無意味だと知りましょう
認めてほしいという気持ちが病的に強くなると、相手が本当に自分を大切に思っているかどうか確かめる、「試し行動」をするようになる人もいます。
恋人に「さようなら」とわざと別れのメールをしたり、家族の誰かに「これから飛び降りるから」と、自殺をほのめかした電話をしたりして、相手の反応を試します。そしてその相手が焦って飛んで来る、その行動で自分が「愛され、認められている」と安心するのです。
このような行動は人間関係を壊し、こころの崩壊につながります。試し行動はあなただけでなく、試されている人の心も破壊します。もしここまで承認欲求が強まってしまっているなら、一度カウンセリングや専門医に受診することも検討してください。
試し行動が生むのは悲劇的な結末だけです。どうしてもやめられないと感じるなら、まずそれが異常であるということを理解しましょう。特に女性に見られる彼氏に依存してしまう傾向が強い人は、ぜひこの機会にもう一度自分を振り返ってみてください。
彼氏に依存している女性がそこから抜け出す10個の方法!
身近な人が承認欲求が強い場合の対処法
身近な人で承認欲求が強いと感じる人への、対処法をまとめました。承認欲求が強い人との付き合いはコツを掴めば、グッと楽になります。
対処法①:まず褒める
承認欲求の強い人がいる時、その場を穏便に済ませようとするのであれば、とりあえず褒めて認めてあげるのが一番の近道です。
「わぁー、凄いですね!」「「知らなかったですー!」「憧れます!」
そんな単純な言葉が、最も効果的です。
承認欲求が強い人が望むのは、『安心』です。身近な人の承認欲求に悩まされている場合は、まずこの点をよく理解しておきましょう。
対処法②:聞き役になる
承認欲求が強いが強い人が切望しているのは「愛情」です。
自分に向けられる優しい眼差しが欲しい、その気持ちが行動の原点ですから、時間が許す時には、話を聞いてあげてみましょう。
聞き役に回るという態度を示すことで、私はあなたを理解するつもりです、敵ではないですよと教えてあげます。そうすれば徐々に、感情的に穏やかになり、落ち着いてくるはずです。
承認欲求が強い人は、実は普段の生活を送るだけで大変な思いをしています。他の人と同等のことを行って、その上顔も知らない人の賞賛まで集めるつもりなのですから。
見当違いの努力であったとしても、本人は必死です。もしあなたがそれを分かってあげようと思えるなら、例えそれが子供っぽい自慢話であっても、じっくり聞いてあげてください。
対処法③:「大丈夫だよ」「頑張っているね」と言ってあげよう
承認欲求の強い人だと分かっていても、それを含めて仲良く付き合っていくならば、できるだけ励ましてあげるようにしてください。自信がついて自分を「承認」できるようになれれば、その人の未来は明るくなります。
この時に大切なのは、その励まし方です。
- ✖「大丈夫?」→〇「大丈夫だよ」
- ✖「がんばってね」→〇「がんばっているね」
コツは、先のことを心配するのではなく、「今現在のあなた」を認めてはげますこと。
今のままで十分、「今の状態そのものが認められるに値するのだ」ということを確認してあげるようにしましょう。
対処法④: 時にはきちんと助言する
時には思い切ってはっきりと指摘することも必要です。
「その言い方では、自分が目立ちたいだけだと思われてしまうよ」
「他の人の意見も聞けるのが、社会人だ」
相手はあなたを敵視し、言い訳を並べるかもしれません。それでも仕事に支障が出ている場合は、はっきりとその承認欲求を抑えるように警告してください。
もしその相手が、パートナーだった場合は恋人や夫婦は立場が対等ですから、一方的に責める雰囲気になるのはよくありません。
「気付いていると思うけど、ラインの回数が多すぎて正直戸惑っているんだ」
「あなたの話は面白いけど、今日は私の話を聞いてもらえる?」
相手に理解を示しながら、提案してみましょう。承認欲求が強すぎる人と付き合いを続けるのは大変です。それでもお互いの距離を測りながら信頼できる関係を育んでいきましょう。
対処法⑤:自分で抱え込みすぎない
相手が愛情の試し行動など、病的な行動をとるようなら抱え込みすぎるのをやめましょう。
その状態の相手は、もう普通の方に手に負える状態ではありません。相手の神経を逆なでしないように専門医の受診を勧めるか、カウンセリングを受けるなど何らかの医療措置が必要な状態です。
承認欲求が試し行動にまで及んでいる人と、付き合い続けるのはあなたまで心のバランスを崩す原因になりかねません。抱え込みすぎることなく、自分の身を守ってください。
対処法⑥: 改善されなければ離れましょう
色々試してみたけれど、改善されないと感じるなら、振り回されるのを回避するため、その人から離れてください。
他人を変えることは困難です。
その人は、これからもその人の世界で生きていき、あなたはあなたの世界で生きていきます。
それまで長く付き合ってきた友達であっても、一度は愛した恋人であっても、相手の底知れない承認欲求を、永遠にあなたが満たし続けることは不可能です。無理だと感じた場合は、別の道を歩んでいく決断も時には大切です。
承認欲求が強い人におすすめの本!
現代社会において、承認欲求はもはや「伝染病」である。と言及している作品です。蔓延した「認められたい問題」を考え、それを抱えたまま生きづらいのはなぜなのかが綴られています。
承認欲求について考える初心者的な本ではありませんが、手に取り読んでみると、小さな衝撃を与えてくれる作品です。
まとめ
自分の周りにいる人たちを思い浮かべた時、「めんどくさい人」「できるなら避けたい人」として思い浮かんでしまうのが、承認欲求が強すぎてしまう人たちです。
喜怒哀楽が激しく、負けず嫌いで嫉妬深い。こう並べてしまうと悲しいほど、大人になり切れない子供っぽさがありますが、すべては『認めてもらいたい』という、たった一つの満たされない気持ちからきていることがわかります。
認めてもらうことを切望する理由は、他人に認めてもらうことでしか『自分』存在価値を認める方法がないからです。
この記事を読んで、仲間に上記の特徴に当てはまる人がいたり、また自分自身にその傾向があったりするなら、一度承認欲求について深く学んでください。
自分で自分を認められるように成長することが、今よりも生きやすく周りも幸福にする生き方です。この記事が承認欲求で苦しむ人や、身近な人の承認欲求に悩まされている人の助けになることを願って。
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