あなたの周りには、よく八つ当たりする人がいるでしょうか?
それとももしかしたら、あなた自身が八つ当たりしてしまうことで悩んでいますか?
今回は、どうして人はなぜ「八つ当たり」という行動を取ってしまうのか?そしてつい、八つ当たりをしてしまう時の対処法を考えていきます。
八つ当たりとは?
八つ当たりとは、腹を立てて関係のない人に怒りの感情をぶつけてしまうことです。
例えば受験に失敗したのは自分の勉強不足だったのに、親に対してもっといい環境で勉強をさせてもらえなかったからだと怒鳴ること。
仕事でミスをしたのは自分なのに、部下の働きが悪くて自分の仕事が増えたからミスにつながったと、部下を叱責するなどです。
どちらの場合も、自分が現状に陥ったのは自分の責任なのに、それを受け入れることができないため、相手に責任を転嫁して怒りをぶつけています。
八つ当たりする心理とは?
では八つ当たりしてしまう時の人の心理とはどういったものなのでしょうか?自分がつい誰かに当たってしまう状況を考えつつ、八つ当たりしてしまう心理を知っていきましょう。
心理①:感情のコントロールが苦手
何かあるごとについ八つ当たりしてしまう人は、「自分のマイナスな感情を上手く処理することができない」という傾向があります。
八つ当たりという行為は、心理学用語でいう「置き換え」のひとつです。怒りや不安、悲しみの感情を持て余したときに、湧き上がってくる衝動です。
良く八つ当たりする人というのは、そういった「負のマインド」をコントロールするのが苦手なので、それらから自分の身を守るために、怒りを怒鳴ることや物を叩くことに「置き換える」のです。
例を挙げると、幼い子供がスーパーのお菓子売り場で、「買ってよー!!」と騒いでいるのと同じ現象です。
買ってほしいお菓子があるのに、お母さんにはダメと言われ、自分の欲求が満たされません。そのときその子は怒りやイライラを、お母さんを叩くことや、棚のお菓子を手あたり次第落とすことで解消しようとしているのです。
これと同じで、大人になっても、自分の感情を制御することができない人は、人や物に当たってしまいます。
言い換えると、自分の中で折り合いをつけるべきマイナスマインドを、他の人や物を利用しないと押さえられない人、とも言えるでしょう。
心理②:固定観念・こだわりが強い
しょっちゅう誰かに八つ当たりをしている。
そんな人を観察してみると、自分なりの、意味のないルールを多く持っていることがわかります。そして独自のオリジナルルールを守れないと、イライラしてしまうのです。
もし、「いつも同じ電車の、同じ車両に乗る」といったルールを持っていたとすれば、いつものドアが、とても混雑しているのを見ただけで「ムカッ」とします。
そんな風に、自分のこだわりがスムーズに満たされないと感じたとき、隣の人をにらみつけたり、聞こえるように「チッ」と舌打ちしたりして「八つ当たり」するのです。
また仕事上でも、それほど重要ではない決め事に勝手に独自ルールを持ち、そのため怒りのトリガーポイントが多く、八つ当たりしがちになります。
本来なら、どれから始めても構わない作業なのに、「この順番でやるはずだったんだ!」とイライラし、机をバンと叩く。そういう迷惑な人は、固定観念が強いタイプや完璧主義の八つ当たりさんです。
心理③:かまってほしい、注目されたい
八つ当たりの心理の中には、自分の感情に気づいて欲しい、注目してほしいという気持ちも隠されています。
スーパーで泣き叫ぶ子供は、なぜ大きな声や音を出していると思いますか?それはお母さんの気を引いて、自分の怒りや要求に気づいて欲しいからです。
大人の八つ当たりもそれと全く同じです。
持っていたペンを壁に向かって投げつけたり、関係ない人に「なんだよ!」と怒鳴ったりしている人は、自分のむかむかした感情に気づいてほしい、そしてどうにかしてほしいのです。
八つ当たりしてしまう人の特徴
ここからは、八つ当たりしてしまう人がどんな特徴を持っているか?また自分はその特徴に当てはまっていないかを考えていきます。
特徴①:ワガママが通るのが当たり前だと思っている
幼少期の育てられ方も、八つ当たりと大きく関係しています。
「少し騒げば、自分の欲求が全て通る」そんな幼児期を過ごすと、人はとても我儘に成長してしまいます。
我慢することができないので、大人になってからも大きな音や声で、相手をびくつかせれば、自分の思い通りになると勘違いしているのです。
そうやって親を操り、自分の我儘を通してきたので、大人になり昔の手法が通用しないと、理解が追いつかず、結果八つ当たりという行動をとってしまいます。
本当なら、大人は問題解決のために、冷静な言葉や、穏やかなボディーランゲージを使うでしょう。その表現が稚拙で衝動的な場合、八つ当たりという表現方法になっている、とも言えます。
特徴②:精神的に幼いままである
精神的な未成熟さも、八つ当たりをしてしまう人の大きな特徴です。
体と心の成長というのは、同時にちょうど良く行われるとは限らないものです。
例えば家では王様のように、傍若無人に振る舞い、外に出ると小さく大人しくなる人のことを「内弁慶」と言ったりしますが、こういう人は、家で八つ当たり行動を取りやすいものです。
なぜなら、家は自分が子供のままでいられる、言い換えれば「自分の幼さをカバーしてくれる人がいる場所」なのです。少しのことでも怒ったり大声を出したりさえすれば、誰かが自分のしたいことを、代わりに遂行してくれるのですから。
こういう幼い人というのは、学校や職場でも、自分を支えてくれる人がいる状況になると、内弁慶さを発揮することがあるでしょう。八つ当たりをしてもそれを許してくれる場面なら、子供のように振る舞い、我を通そうとするに違いありません。
特徴③:自分自身は八つ当たりされたことがない
八つ当たりされたことがある人なら、その理不尽さや怖さ、戸惑う恐怖を知っています。
自分に全く責任のないことで怒鳴られる時、どうしていいかわからない、その嫌な気分というのは、経験したことがないとわからないでしょう。
八つ当たりする人というのは、基本的に「八つ当たりされたことのない人」です。自分がどれだけ相手に嫌な思いをさせているか、その実感がないままに、八つ当たりを続けしまっています。
「相手の身になって考える」というのは、人としての基本のひとつのはずです。でもそれが出来ない人が増えているのもまた事実なのです。
ですから、自分の感情を押し通すことが最優先になっている人ほど、八つ当たりのような自己中心的な行動を取ってしまいます。
特徴④:パニックになりがちである
人が一日生活していると、当たり前のようにトラブルはいくつか起こってくるものです。
ですが八つ当たりする人というのは、その時に頭が真っ白になり、一種のパニックを起こしているといえます。
それが小さな問題だったとしても、瞬時にそれに対処することができないのです。
本来ならそのトラブルを分析し、冷静に解決策を見出せばいいはずですが、八つ当たりする人はそれらを放棄してしまいます。
八つ当たりするのが当たり前になっている人は、自分が怒りや不安を感じた時に、なぜ物を投げたくなるのか改めて考えてことがないでしょう。
それはいつもの反射的な行為になってしまっているからです。
しかしその行動は、八つ当たりしない人から見れば、非常に冷静さを欠いた、単なるパニック行動です。ですから、衝動的に怒りを露わにする癖のある人は、それが「あー、また始まったよ、困ったもんだ」と、苦笑されているのだと自覚する必要があるでしょう。
八つ当たりしてしまう自分を変える方法!
つい誰かに八つ当たりをしてしまう、衝動的な怒りを抑えることができない。ここではそんな現象に悩んでいる人の対処法を綴っていきます。
八つ当たりは治せます。ぜひ自分に合った方法を試してみてください。
方法①: 怒りを感じるのは当たり前のことだと知る
まず自分が感じる不安や怒り、イライラした気分というものを、敵視しないで受け止めることから始めましょう。
人間は、自分の命を保っていくため、また自分の心を正常に保つために、自分自信を守る必要があり、それは本能的なことです。
ですから、手に入れたいと思うものが入手できないと知った時、カッとなるのはごく自然なことなのです。
ですからその怒りを、一旦受け入れてあげてください。
怒っていい、カリカリしても当たり前なのだと、自分の感情を抱きしめてあげるのです。
そうすれば、湧き上がっているあなたのその怒りが、瞬時に衝動となるのを防ぐことができるでしょう。
「そうだよね、怒って当然だよね」と自分をなだめられれば、怒鳴ったりモノに当たったりする前に、一呼吸置くことができるはずですから。
方法②:八つ当たりしても、問題は解決していない
八つ当たりをしても事態は改善しない、ということを心に留めておきましょう。
例えば疲れのせいでイライラし、子供やパートナーに八つ当たりする、そんな癖がついている人がいるとします。
疲労して帰宅してから、大声を上げて子供を叱り、冷蔵庫のドアを思いっきり閉めれば、周りはびくびくして、あなたの言うことを聞くかもしれません。
しかし、それであなたの「疲れ」という問題は解消するでしょうか?
いいえ、あなたの疲労は蓄積されていくだけです。今のあなたに本当に必要なのは、腫れ物に触るような家族の態度ではなく、十分な栄養と休息なのですから。
八つ当たりをしたくなる気持ちはわかります、簡単に解決する問題ではないのもわかります。
ただ、八つ当たりをし続けたところで、自分も自分の周りも不幸にするということは頭に入れておきましょう。
だからどうしても八つ当たりがやめられない時は、自分の感情と向き合い「根本的な解決策は何だろう?」「どうして自分はこんなにイライラしてしまうのだろう?」という方向に気持ちを向けてください。
不幸が続くときの7つの解決方法!~なぜ不幸の連鎖が起こるのか?~方法③: 相手に感情移入する習慣をつける
あなたは脅されて無理やり仕事をするのが好きですか?
やりたくないけど怒られるから、おどおどしながらやる。それは楽しいと思いますか?
つい誰かに当たってしまう自分を変えたいなら、八つ当たりされた相手の立場に立って考える癖をつけましょう。
それは「感情移入」といって、他人の喜びや悲しみを自分のことのように感じる、とても人間らしい考え方です。
常に怒りっぽく、自分の意見が通らないと気が済まない人はみな、相手の気持ちを大切にできていません。
そんな人は、ここで再確認してください。
あなたが自分の欲求を持っているのと同じように、他の人もそれぞれ、その人のやりたいことがあるのです。
最初は「もし自分が同じ立場で、こんなことを言われたら、どんな気分になるだろうか?」「もしこんな態度をとられたら、どんな気持ちになるか?」この2点を想像することから始めてみましょう。
共感力を磨くことは、人間関係を改善することにも繋がります。相手の気持ちがわからない、衝動的な感情を押さえられないひとこそまずこの方法を試してみましょう。
相手の立場に立って考える10個の方法!方法④: 八つ当たり行動を抑える訓練をする
八つ当たりを抑える訓練をしましょう。
感情と行動のコントロールというのは、スポーツにおけるトレーニングに似ています。走ることでも球技でも、何度も何度も同じことを繰り返すことで、その動きに必要な筋肉が、徐々に発達していきます。
ですから八つ当たりしてしまう自分を変えたいと思うなら、怒りの感情がぐっと込み上げてきたときにどうするか、それをトレーニングすればよいのです。
- ムカッとしたら、まず深呼吸物
- を投げたくなったら、右手の指輪を5秒見つめる
- なぜ怒りを感じたのか、目を閉じて一旦考えよう
こんな風に、いわば「八つ当たり行動を抑える筋肉」を鍛えることで、あなたは自分の行動を制御できるようになっていきます。
八つ当たりをしてしまう気持ちを、当然のことだと受け止め、そして感情の爆発をコントロールできるようになれば、あなたはもう理不尽な怒りに左右されることはなくなります。
方法⑤: 客観的『映像』を見て自分を振り返る
もし自分が八つ当たりして大声を上げている場面を、誰かが動画で撮影していたとしたら、あなたはそれを見る勇気がありますか?もし強制的にそれを見せられたとしたら、どんな気分になるでしょうか。
たぶん、見るに堪えない、穴があったら入りたい、そんな気持ちに襲われるでしょう。そしてその気持ちは、きっと後々まで自分の中で引きずる体験になるはずです。
だからちょっと刺激の強いやり方ですが、もし協力者を募ることができるなら、自分が八つ当たりしている様子を映像で残してみましょう。
そして、その映像を自分で視聴すると、自分の行為の理不尽さや恥ずかしさを最も正しく感じることができます。自分の行動を客観的に振り返るのは難しいものです。しかしそこに『映像』という動かしがたい事実がある時、人はその事実を認めざるを得なくなります。
八つ当たりをやめたい。自分の感情をコントロールできるようになりたい。強く願うなら、一度試してみてはどうでしょうか?
八つ当たりしてしまう人への対処法!
最期に、何かにつけて八つ当たりをしてくる人への対処法をまとめました。ここまで紹介した、なぜ八つ当たりという行動を相手は取ってしまうのか?も考えつつぜひ実行してみましょう。
方法①: 離れる
八つ当たりされそうだな、と感じた時はできるだけ素早くその場から離れましょう。現場離脱は、八つ当たりする人に対する最も効果的な対処法です。
八つ当たりという行為は、ほとんどがその場にいる人や物に対する瞬間的なものなので、そこにいなければ被害に合うことはありません。あなたを何分も探して見つけてから、怒りを爆発させるということはないのです。
その行動にいちいち付き合っている暇がない、他にやるべきことが山積みである。そんな時は上手く八つ当たりをかわせるよう、そっとその場から立ち去ってみてください。
方法②: 優しく気遣ってあげる
八つ当たりしている人はその時、興奮状態にあります。
自分を見失い、ともすると「自分が何にイラついているのか」ということすら分からなくなっていることもあるでしょう。
そんな時、あなたに少し余裕があったり、相手ととても親しい間柄であったりする場合は、「どうしたの?何があったの?」と自然に声をかけてあげましょう。そうすればヒートアップした怒りを少し鎮めることができます。
他に声かけのパターンとしては、今起こっているトラブルそのものについてだけでなく、
「今日は疲れているみたいね、どうしたの?」
「あなたらしくないわ、良かったら愚痴を聞くわよ」
こんな風に、その人が背後に抱えているかもしれない問題に、フォーカスしてあげるのも効果的です。
方法③: はっきり拒絶する
もし怒りに任せて八つ当たりしている人が、自分の子供や後輩など、教え諭してあげたい相手なら、はっきりとその行為を戒めてあげてください。
八つ当たりすれば買ってもらえる、買ってもらえなければ怒りが収まらない。
その悪循環から本人が抜け出さなければ、これからもまた同じように、イライラしながら人生を送らなければならないのですから。
「なぜ本を投げたのか、その理由を説明してみなさい」
「私に向かって暴言を吐くのをやめなさい」
八つ当たりという行動は、一種の「クセ」になりえます。しかし、それはどこかで遮断しなければなりません。ですからあなたがそれを言える立場なら、少し勇気を出して「だめ」と言ってあげるのも、相手のためです。
方法④: 相談に乗ってあげる
相手の懐に入り、相談に乗るというも八つ当たりされることを未然に防ぐには有効です。
自分の気持ちを上手く言葉にするのが苦手で、友達が少ない。そんな人はコミュニケーション能力が低いため、自分一人で感情をコントロールできず八つ当たりという形で気持ちを発露してしまいます。
忙しい毎日の中で、他人のために時間と労力を割くのは、なかなか難しいことです。ですがもし、あなたがその人と仕事でどうしても一緒に何かをやり遂げる必要があるような場合はどうでしょうか。
そんな時は、頻繫に八つ当たりされて不満を抱えるより、一度じっくり話し合い、内容によっては相談に乗ってあげると、相手はあなたのことを味方だと認識し「八つ当たり相手」の対象から外してくれることを期待でします。
方法⑤: ユーモアに持ち込む
こちらは少し上級者向きの方法です。八つ当たりを気にしないで、「笑い」に変えてみましょう。
海外の映画やドラマを見ていると、特に英語を母国語にしている国では、日本に比べると感情表現が豊かだなぁと感じられると思います。
会話中にカッとして、グラスを壁に投げつけるとか、相手に突発的に怒鳴る、そんな場面はしょっちゅう出てくるでしょう。
そんな時、
「あら、新しいグラスを買いたいと思っていたのよ」
とか、
「そんな大声を出したら、お腹がすいたでしょう?ランチにする?」
こんな風に返せたら、八つ当たりした人も思わず吹き出してしまうかもしれません。怒りや負の感情に引きずられることなく、それを柳のように受け流して笑いに変えられる力をつければ、どんな人とでも付き合える無敵のコミュニケーション能力を持っているといえるでしょう。
つい八つ当たりしてしまう人は贈る本
「怒り」がスーッと消える本 水島ひろ子
怒っている人をどう見たらいいのか、嫌な態度を取られたときにどう対処すればいいのかなど、具体的な例が多く書かれている本です。
相手との期待のズレをなくす、怒りの正体を知るなど、自分がなぜ人に八つ当たりをしてしまうのか?ということが、よくわかる1冊でした。
心が怒りに支配されてしまうと感じる人は、ぜひ手に取ってほしい良著です。
まとめ
どんな風に生きていても、一日は24時間しかなく、人生には限りがあります。怒っても一生、笑っても一生です。
どんな人にも時間は同じだけ与えられているなら、その時間をできるだけ笑って、楽しく過ごしたほうがいいのは誰が見てもわかります。だから怒りが抑えられない、八つ当たりがやめられない、そんな人は自分の感情との付き合い方を今一度考えてみましょう。
怒っても一生、笑っても一生
ぜひこの言葉を心の片隅に置いて、できるだけ笑顔多い人生を歩んでいってください。この記事が、自分や相手の「怒り」をコントロールして、幸せな生活を送りたいと願っているあなたの、役にたてることを願って。
コメントを残す